起業家について書くとき、その社会的な取り組みを、ビジネスが本題である物語の最後に添えられた、品のよい付け足しのように扱いたくなることがあります。しかし、そうした書き方では大切なものが抜け落ちてしまいます。自閉症のある子どもとその家族を支える団体を設立しようと思わせる価値観は、企業を導くべき価値観と別のものではありません。最もよい形では、それは同じ価値観が別の場面で表れたものです。組織を丁寧につくること、支える相手を尊重すること、そして成功の一部は誰を受け入れたかによって測られるべきだという信念です。
2024年、Ahmad Athamnehは、自閉スペクトラムのある子どもとその家族を支援するヨルダンの登録団体、Mia Autism Associationを設立しました。本稿では、こうした取り組みがなぜ大切なのか、そして誰もが受け入れられる未来には何が必要なのかを考えます。
自閉症を理解する
自閉症は、生涯にわたる発達の特性で、人とのコミュニケーションやかかわり方、周りの世界の感じ方に影響します。スペクトラム(連続体)と呼ばれるのは、その表れ方が人によって大きく異なるからです。流ちょうに話す人もいれば、別の方法でコミュニケーションをとる人もいます。日々の生活で多くの支援を必要とする人もいれば、ほぼ自立して暮らしている人もいます。音、光、肌に触れるものなどの刺激に対して、感覚が敏感だったり鈍かったりする人も少なくありません。
自閉症は発達のあり方の違いであって病気ではなく、家族が何かをしたせいで生じるものでもありません。自閉症のある人には、困難だけでなく独自の強みもあり、多くの人が自閉症を自分自身の欠かせない一部だと語っています。そうした人々が一貫して求めているのは、理解と適切な支援、そしてほかのすべての人と同じ敬意と機会です。
家族が直面すること
多くの家族にとって、その道のりは戸惑いから始まります。保護者は、わが子の発達がほかの子と違うことに気づきますが、理解と評価にたどり着くまでの道は長く、わかりにくいことがあります。自閉症があるとわかった後も、家族は支援、教育、将来についての問いに向き合わなければなりません。多くの場合、仕事と家庭の日常の負担を抱えながらです。
自閉症のある子どもの家族は、しばしば孤立感を口にします。公共の場が居心地の悪い場所に感じられることもあります。親族や近所の人が理解してくれないこともあります。学校が子どもを支える体制を備えていないこともあります。気持ちの面でも経済的な面でも、負担が大きくなることがあります。
家族が何より必要としているのは、多くの場合、信頼できる情報、支援を受けるための道案内、同じ経験をしている人とのつながり、そして評価ではなく理解をもって応えてくれる地域社会です。
学校でのインクルージョン
教育は、インクルージョンにとって最も重要な場の一つです。すべての子どもに学ぶ権利があり、自閉症のある子どもも、その子に合わせて整えられた学びの環境の中で大きく伸びることができます。
インクルーシブ教育とは、支援のないまま自閉症のある子どもを通常の学級に入れることではありません。教員に知識と手立てを提供し、感覚への負担を減らすよう環境を整え、必要に応じて個別の支援を行い、違いが尊重される学校文化を育むことです。また、子どもによって適した学びの場が異なることを認め、子どもの教育に関する決定に家族が意見を述べられるようにすることでもあります。
インクルーシブ教育がうまく機能している学校では、恩恵を受けるのは自閉症のある生徒だけではありません。同級生は共感と違いへの敬意を学び、教員はすべての生徒に役立つ力を身につけ、学校はより人の温かみのある場所になります。
地域社会とアクセシビリティ
インクルージョンは学校にとどまらず、公園、店舗、診療所、礼拝の場、スポーツ施設、文化施設、公共交通といった日常生活の場へと広がります。静かに過ごせる時間帯や場所を設ける、わかりやすい案内表示を用意する、自閉症を理解し落ち着いて対応できる職員を配置するといった小さな工夫が、大きな違いを生むことがあります。
デジタルのアクセシビリティも重要です。多くのサービスがオンラインに移るなかで、認知や感覚の面で異なるニーズを持つ人々にとっても、わかりやすく、予測しやすく、使いやすいウェブサイトやアプリをつくることは、誰もが受け入れられる社会づくりの一部です。
自立と将来
子ども時代は始まりにすぎません。自閉症のある若者も、やがて大人になり、ほかの誰とも同じように、やりがいのある仕事、人とのつながり、そしてできる限りの自立を求めます。その将来に備えるためには、生活の力、職業訓練の機会、そしてインクルーシブな雇用のあり方に目を向ける必要があります。
自閉症のある人を迎え入れる雇用主は、通常の採用の過程では見過ごされがちな才能に気づくことが少なくありません。職場でのインクルージョンは慈善ではなく、能力を正当に認めることです。
団体が果たす役割
自閉症に取り組む団体は、いくつもの役割を果たすことができます。理解を広め、偏見に向き合います。情報と人とのつながりによって家族を支えます。よりよいサービスと政策を求めて働きかけます。専門家、学校、各種機関との協力関係を築きます。そして、ニーズが見過ごされがちな人々の声を、ひとつにまとめて届けます。
こうした役割を果たすために、団体には、よく運営されたあらゆる組織と同じ資質が求められます。明確な使命、健全なガバナンス、財務の透明性、支える相手への敬意、そして自分たちにできることとできないことについての正直さです。家族に必要なのは守られない約束ではなく、頼りになるパートナーです。
Mia Autism Associationの活動は、まだ始まったばかりです。目的は明確であり、具体的なプログラムや協力関係は時間をかけて形になっていきます。その規模や成果を誇張することなく、活動を正確に伝えることは、この団体が支えようとしている家族に対する敬意の一部です。
事業と社会的責任
こうした取り組みは、ビジネスに身を置く人生とどのようにつながっているのでしょうか。最も直接的には、企業であれ団体であれ、組織は人のためにつくられるものであり、人をどう扱うかによって評価されるべきだという信念においてでしょう。
経営者は、さまざまな形でインクルージョンに貢献できます。寄付による支援もその一つですが、インクルーシブな採用、利用しやすい製品、支援を必要とする子どもを持つ保護者のための職場の制度、そして自らのネットワークを生かした理解の促進もあります。組織をつくり、協力関係を築き、課題を解決するという起業の力は、社会的な分野でもそのまま役立ちます。
一人ひとりが、組織ができること
インクルージョンを支えるのに、大きな組織は必要ありません。いくつかの具体的な一歩から始めることができます。
- 自閉症のある人とその家族から学ぶ。その経験こそが、理解のための最も大切な源です。
- 場をより利用しやすくする。実際の環境でもデジタルの環境でも、小さな工夫が大きな違いを生むことがあります。
- インクルーシブ教育を支える。教員の研修と適切な教材・手立てに投資します。
- 機会を開く。インクルーシブな採用の方法や、職場での合理的な配慮を検討します。
- 信頼できる団体と手を組む。透明性と敬意をもって活動する団体を支援します。
一人ひとりの居場所
誰もが受け入れられる未来は、一つの組織や一度の善意によって築かれるものではありません。学校で、職場で、公共の場で、家庭で、世界を異なるかたちで感じている人々のために居場所をつくるという、数えきれない判断の積み重ねによって築かれます。経営者にも、その営みの中で果たすべき役割があります。それは事業上の成功に添えられた付け足しとしてではなく、自らが築くすべてのものを導くべき、同じ価値観の表れとしてです。社会の価値は、最終的には、何を生み出したかだけでなく、誰を受け入れたかによって測られるのです。
本記事は分析と考察を目的としたコラムです。インタビューの引用や発表の告知は含みません。
