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コラム 04 · 人工知能

AIと医療の未来

医療で最も役立つAIは、最も目を引くAIとは限りません。最も信頼できるAIです。

Ahmad Athamneh6分で読めます

人工知能にこれほど大きな期待が寄せられている分野は、医療をおいてほかにあまりありません。そして、これほど慎重さが求められる分野もまた少ないでしょう。期待には根拠があります。AIは情報の整理を助け、トリアージ(緊急度の判定)を支え、事務的な負担を減らし、専門医の少ない地域にも専門的な知見を届けることができます。しかし医療は、誤りが最も弱い立場にある人々に降りかかり、データがきわめて機微で、一度失われた信頼を取り戻すのが非常に難しい分野でもあります。

したがって、問題はAIが医療で役割を果たすかどうかではありません。すでに果たしています。問われているのは、どのような役割を担うのか、そしてその役割が医療を複雑にするのではなく、よりよいものにするために、どのような条件を満たす必要があるのかです。

AIが求められる背景

世界の医療システムは、共通の課題を抱えています。高齢化と慢性疾患の増加によって需要は高まり続けています。医療従事者の時間は限られており、そのかなりの部分が記録や事務作業に費やされています。都市部と地方の間、豊かな地域とそうでない地域の間、そして複雑な制度を使いこなせる人とそうでない人の間で、医療へのアクセスには差があります。

患者もまた、それぞれの課題を抱えています。症状が現れたとき、救急で受診すべきか、予約して外来を受診すべきか、自宅で様子を見ればよいのか、判断できない人は少なくありません。必要な受診を遅らせてしまう人もいれば、別の方法で対応できた状態で救急を受診する人もいます。どちらの場合も、本人にとっても医療システムにとっても負担になります。

こうした課題が、AIへの期待の背景にあります。ソフトウェアは人の専門性ではできない形で規模を拡大でき、よく設計されたツールは、限られた医療資源を最も必要とされる場所へ向ける助けになります。

AIが本当に役立つ領域

特に有望と考えられる活用分野がいくつかあります。

一つ目は、受診の入り口での案内です。AIを活用した症状評価ツールは、構造化された質問をし、関連する経過を聞き取り、セルフケアの情報から早めの受診の勧めまで、取るべき次の行動を理解する手助けができます。目的は診断ではなく、人々がより早く適切な医療にたどり着けるようにすることです。

二つ目は、臨床業務の支援です。患者の経過の要約、受付情報の整理、医師が確認するための記録の下書き、関連する診療ガイドラインの提示などによって、医療従事者の判断を外すことなく、その時間を取り戻すことができます。

三つ目は、アクセスの拡大です。スマートフォンを前提とし、患者の母語で使えるツールは、これまで基本的な健康情報を得ることさえ難しかった人々に届きます。アラブ世界では、最初からアラビア語とその方言に合わせて設計されたツールが、グローバル市場向けに開発された多くの製品が残してきた空白を埋められる可能性があります。

四つ目は、医療システム全体を見渡す洞察です。集計され、適切に保護されたデータは、医療機関が需要の傾向を把握し、資源を計画し、新たなニーズを見つける助けになります。

守るべき限界

これらの機会には、それぞれリスクが伴います。そのリスクは後から気づくのではなく、設計の段階で備えておかなければなりません。

AIは、自信たっぷりに間違えることがあります。医療においてツールは、不確かさを伝え、迷うときは人に引き継ぎ、臨床の判断に従うべきです。重い病気の人を誤って安心させてしまうシステムは、システムがない場合よりも大きな害をもたらしかねません。

モデルには偏りが入り込むことがあります。学習データの中で特定の人々が十分に代表されていなければ、よりよい医療へのアクセスを最も必要としている人々に対して、性能がかえって低くなるおそれがあります。ツールが対象とするすべての人々について評価を行うことが不可欠です。

健康に関するデータは、きわめて個人的なものです。責任あるシステムは、必要な情報だけを集め、明確な同意を得て、強固なセキュリティで保護し、どのように使うのかを明らかにします。

そして、規制も重要です。多くの国・地域では、臨床上の判断にかかわるソフトウェアは医療機器として規制されています。その要件を満たすことは、煩わしい手続きではなく、ツールが安全であることを社会が確かめるための仕組みです。

信頼できる医療AIのための設計原則

以上を踏まえると、この分野に取り組むすべての人に共通する原則が見えてきます。

支えるのであって、置き換えるのではない。AIは患者と医療従事者の関係を強めるものであり、それに取って代わるものではありません。

導入の前に検証する。精度や効果についての主張は、できれば医療機関と協力し、現実に近い環境での厳格な評価に基づくべきです。

人への引き継ぎを前提に設計する。どの利用経路にも人による医療へとつながる明確な道筋を用意し、その基準は安全を優先して定めます。

データを最小限にとどめ、守る。プライバシーは、方針の文書ではなく、設計上の判断であるべきです。

利用者の言語と状況に合わせてつくる。アクセシビリティには、言語、文化、経済の面での利用しやすさも含まれます。

医療の仕組みに組み込む。臨床の流れの外にあるツールは分断を生みがちですが、適切な基準と承認のもとで連携するツールは、分断を減らすことができます。

状況について正直である。提案段階のもの、検証中のもの、効果が確かめられたものを明確に区別します。

組織としての課題

医療AIは、技術の課題であると同時に、組織と制度の課題でもあります。病院、保健当局、保険者、専門職団体は、いずれもツールがどのように導入され、管理され、費用が負担されるかを決める役割を担っています。うまくいく取り組みは、こうした関係者を早い段階から巻き込み、国のデジタルヘルス戦略と歩調を合わせ、既存の情報システムとの連携を計画に組み込んでいることが多いものです。

この地域の一部で大規模なデジタルヘルス基盤が急速に普及したことは、信頼でき、役に立ち、安心して使えるデジタルヘルスのサービスであれば、人々は利用するということを示しています。その経験は、次の世代のインテリジェントなツールにとっての土台であり、目指すべき水準でもあります。

どこから始めるか

この分野に参入する創業者、投資家、機関にとって、出発点は比較的はっきりしています。

効果が明確でリスクを管理しやすい、範囲を絞った価値の高い用途から始めること。

臨床の専門家を、助言者としてだけでなく、中核チームの一員として迎えること。

自社の製品分類にどのような承認の道筋があるのかを知るため、早い段階で規制当局と対話すること。

利用状況の指標だけでなく、患者と医療従事者にとって意味のある成果を測ること。

責任ある医療イノベーションに必要な長い時間軸を、あらかじめ見込んでおくこと。

信頼こそが成功の尺度

人工知能は、医療をより身近で、効率的で、迅速なものにする力を持っています。しかし最も価値のある医療AIは、最も目を引くものとは限りません。最も信頼できるもの、つまり自らの限界を知り、利用者を守り、ともに働く医療従事者の信頼を得るものです。その水準を後から取り入れるのではなく、最初から自らに課す取り組みこそが、より健やかな未来に貢献する可能性が最も高いと言えるでしょう。

本記事は分析と考察を目的としたコラムです。インタビューの引用や発表の告知は含みません。